茶書の森への旅

teabowl.exblog.jp ブログトップ

カテゴリ:本( 16 )

堺派、奈良派、は存在するか。

桑田忠親「本朝茶人伝」中公文庫、は昔から辞典代わりに

利用させてもらったが、ちょっと疑問に思っていたことが

あった。


それは、目次を見れば誰でも感じるであろう。そこには、

東山派、奈良派、堺派、利休流、宗旦流

等とある。思わず呟きたくなる。

「東山派、奈良派、堺派――そんな「派」あったっけ?」

「宗旦は祖父利休の教えを守る人かと思っていたけど、

祖父の流れと別に、自分の名前を冠した流派を興したの?」


ここでは単に定義の問題とすればいいのかもしれない。

我々の(いや、私の)考える「(茶道における)派」「流」と

桑田氏のそれとの違いに過ぎないのであろう。

しかし、それならば、桑田氏は学者であるのだから猶の事、

その言葉の意味を明示すべきであったろう。

私がこの本を手にした頃のような初心者に、無用の混乱を

起こすことはしてほしくなかった。


ところで、永島福太郎先生の文章を読んで、快哉を叫んだ。

曰く

 茶道のふるさとは奈良というのがただしいが、世上、堺

 といわれる。……利休のふるさとが堺であったからである。

 堺の環境といい、町衆茶の湯の流行といい、これを語るに

 ふさわしい。確かに、茶の湯のふるさとといえよう。

 しかし、これを堺流の茶の湯などということはできないし、

 京都流・奈良流などと対比すべきものではない。……

 三都市が一体化していた時代のことだし、三都市を舞台と

 した豪商らの間に茶数奇が成育したことである。


永島『堺の町衆』「図説茶道大系 第二巻 茶の文化史」

(角川S37)122 からの引用



[PR]
by tamon1765 | 2018-09-13 22:55 | | Trackback | Comments(0)

松平定信「茶事掟」


はなはだ面白い文書です。

私には、定信と言えば、子供の頃覚えた「一人縄なう松平定信」

のイメージです。老中として、ケチケチ政治、いや、失礼。

幕府財政立て直しのため、緊縮政策の人(但し、失敗)。

ということで、老中自ら足の親指人差し指に藁を挟み、一人

黙々と縄をなう人。

 *

はて、何ですか? って?。
一人縄なう松平定信。

「ひとり1な7わ8な7う」で、1787寛政の改革です。

閑話休題。

定信公の本文を引用すると、

・わがほどを守りて、奢りたるものなど玩ぶまじき

・わざとひなぶれたるも、その分限にはあらざるべし

・そのほどをこそよくこうがえ侍るべき

・只その分限をしりて本末を弁え

・よくその程々を守るこそいみじけれ

・分外の物数寄をなすぞ、本意に背けし

とあり、自分の分を守りなさい、にその主張は尽きます。

茶道具に、むだなお金を費やすな!とも。

身分社会のなせる発言とみる向きもあるかもしれませんが、

私としては、常識的なことであり、私の今の生活信条と

一致します。

外に引用すると、

・くまぐま心を尽くし

・くさぐさ心を尽くすべき

好ましい表現です。なかなかいい感じの人であったかも。

 *

さて、笑ったのが、千家の七種蓋置の三ツ人形に対して、

「人の形あるものの上へ、熱くなった釜の蓋を、自分は

熱いものだから帛紗を使って取りながら、その子供の頭

の上へ置こうというのは、心無い人の仕業だ。

あるいは、亀の形をした香合の蓋を取ると、甲羅のみ

離れて、頭も手足も身の方に残るのが、生き物の姿と

かけ離れて、殺風景でおぞましい。」と。

私自身、唐子というモチーフが好きで、七種蓋置のなかで

唯一求めたものなので、笑みがこぼれてしまう。

亀の香合については、これは謂われなきイチャモンかな。

ではどの部位が蓋に付随すれば満足ですか、と定信公に

伺いたいですよ。デザイン作品は、そういうものでしょう。

 *

また、本文末にも正論を吐いてます。曰く

「利休なども、自ら切った竹の花活けに、自分で削った茶杓を

使った。これこそ風流が一段と優ったものだ。

利休の作った花入れを使うよりも、自ら竹を切って出した方が、

かえって利休の心にもかなっている。

大金を出して古い道具を求めることは、その本意に背いている

ことは、言うまでもない。」

 *

さて、最後に、今後の宿題として、楽しみな一節。

「いまにては千々のこがねを出してふるき品をとかい求むるは、

かの妖物の戒めおそるべし」

かの妖怪とは、何?誰?





[PR]
by tamon1765 | 2017-05-11 14:27 | | Trackback | Comments(0)

掛物古語拾遺


「掛物と日本生活」西堀一三

S16 河原書店

掛物古語拾遺 の目次(数字は頁)


連歌比興鈔1

烏鼠集1

志野宗温伝書6

諸作之巻6

小笠原流「万躾之次第」8

松屋筆記8

南方録10

分類草人木12

茶道故実14

茶経事実15

茶道奥秘録17

利休居士改正書院飾秘事17

旦日記24

佐久間不干斉「明記集」25

賑草26

吉田織部伝書27

作湯方目録28

吉田織部数奇之書29

吉田織部雑談29

喫茶雑話30

長闇堂記30

茶道闇明集31

橘屋宗玄覚書32

道具及諸家古語32

石州三百ヶ條34

和泉草36

石州表具伝書38

石州伝書39

表具秘伝書39

茶道旧聞録41

茶道秘事42

表千家流伝書43

藤林宗源伝書44

望月集45

松花堂上人行業記48

江月和尚茶書48

遠州流茶湯手引草48

遠州流数奇全鈔49

茶道便蒙鈔50
行言録50

茶話真向翁50

茶道覚書51

茶湯法方52

掛物取扱口伝54

松風雑話56

貞丈雑話58




[PR]
by tamon1765 | 2015-11-20 15:55 | | Trackback | Comments(0)

陸羽の「毀茶論」3

陸羽の「毀茶論」のことが、太宰春台先生のご本にある
ということは、他にも引用・言及されているはず、との
思い込みにより、いくつか本をひっくり返してみました。

なんてことはない、有りそうな処にちゃんと有りました。

・布目潮風「緑芽十片」1989岩波書店  
・小川後楽「茶の文化史」s55文一出版  

太宰春台先生と同じ内容の引用です。
出典は、『封氏聞見記』とやら。
その原典を探すことは私には出来ないと思いますが・・・・・・。
ところで、人名の違いが気になります。布目本も「伯熊」で
あるのに対し、小川本は「伯態(ハクタイ)」とあります。
いくつかの異本、或いは、別の原典があるのかしら。

その後の陸羽は、それまで居た江南を離れ、越(浙江省紹興)
へ赴いたといいます。小川氏は「この時の精神的打撃はよほど
大きかったとみえる。」と記しています。


過去の書き込み、陸羽による反「お茶」の書、  陸羽の「毀茶論」2
もどうぞ。
[PR]
by tamon1765 | 2014-02-01 07:07 | | Trackback | Comments(0)

陸羽の「毀茶論」2

意外なところから、陸羽の「毀茶論」の情報を得た
ので報告します。
出典は、太宰春台先生の「独語」。
お茶非難の激しい書物として有名ですね。
よって、春台先生には都合のいい話題なのかもしれません。
陸羽についての部分を、いつもの私流超訳です。


漢土にては、南北朝の頃よりお茶を飲むことが始まり、
唐時代に盛んになった。これを、盧同陸羽は特に好んだ。
盧同は茶の歌を作り、陸羽は茶経を表わした。(略)
陸羽が茶を弄ぶことは今の人(江戸)に似ている。
陸羽の同時代人で常伯熊という人も茶に道に詳しい。
李季卿、承相李適之の息子で御史大夫が、皇帝の命で
江南へ赴いた。臨懐県の宿泊施設に来ると、或る人が
常伯熊が茶に通じていることを伝えると、興味を感じ
旅館に呼び寄せ、茶をやらせた。
この時の伯熊の格好はというと、黄色い着物に黒い
紗の帽子で、手に茶筌を持ち、口では茶名を唱え、
丁寧に準備して、決まりの如く茶を用意した。
見ている者は、目を見開いて、珍しいものを見るとの
思いを深めた。実際に飲んでみると、季卿はお替りして
二杯飲んだ。
季卿は、次に江外という処に至って、今度は陸羽を召
した。茶をやらせたが、陸羽は野良の服装で、茶道具を
先に持って出て始めた。茶の作法は全く伯熊と同じで
あった。
季卿はお茶を飲んだが、陸羽の仕業を見て、賤しいもの
と思い、家来に命じて銭30文を陸羽に与えた。
陸羽はこのことを大いに恥じ悔やんで、この時から、
お茶を玩ぶことを断って、毀茶論をしるしたということだ。


以上。
さて、或る時期、私は、最も大切にしなければいけない
ものは人間の尊厳であると、強く感じていました。
世に、人の命は地球より重い、などと云う人がいますが、
命より尊厳の方が重いのでは・・・・・・と。
上記のエピソードをそのまま事実とするならば、ある意味、
ここでは陸羽にとっては尊厳の問題であったと思われます。

また、ふと、西鶴のある作品も彷彿とさせます。


原文は「日本随筆大成 巻九」s2、吉川弘文館 p241、242。


陸羽の「毀茶論」3もご笑覧ください。


<26.2.13>追加補足
[PR]
by tamon1765 | 2014-01-30 22:03 | | Trackback | Comments(0)

「茶道大鑑」の目次

橋本博
「茶道古典集成 茶道大鑑」
大学堂刊(昭和8年初版)

上巻
1.喫茶養生記
2.このめの説
3.茶饗座記
4.木の芽のすさび
5.利休台子かざり様之記
6.利休客の次第
7.藻志穂草
8.喫茶送迎記
9.茶道五度之書
10.茶道秘要録
11.茶具備討集
12.禅茶録
13.源流茶話
14.長闇堂記
15.茶人つれづれ草
16.茶道筌諦
17.喫茶往来
18.茶事秘録
19.北野大茶会之記
20.古今茶人系譜

下巻
21.鴎茶湯百首
22.茶旨略
23.利休居士自筆極秘
24.石川流茶湯書
25.細川三斉茶書
26.宗知秘伝抄
27.池坊茶書
28.熊田与玄茶書
29.茶則
30.遠州流茶書
31.茶器弁玉集
32.古今茶人華押藪
33.続茶人華押藪
34.茶器名物集
35.茶之湯六師匠伝記
36.茶入之次第
[PR]
by tamon1765 | 2013-01-16 23:39 | | Trackback | Comments(0)

角川の図説茶道大系

京王百貨店の古本市、どうにも我慢できずに、
最終日に飛び込みで行ってしまいました。
全くもって、意志薄弱です。

結局購入したのは、5冊
「 図説茶道大系1:茶の美学 」角川
「 図説茶道大系2:茶の文化史 」角川
「 図説茶道大系6:茶に生きた人々(上) 」角川
「 図説茶道大系7:茶に生きた人々(下) 」角川
「 現代思想と道元 」春秋社

この角川の叢書は図版(それも貴重な文書の写真!
あるいは昭和30年代の茶の旧跡の風景写真等)が
多いので、眺めるのが楽しみです。

683×4 + 500 = 3,232
ということで、3,232円でした。
[PR]
by tamon1765 | 2009-08-04 22:48 | | Trackback | Comments(0)

アン・ヘリングさん

「もう本を買うまい。勿論、経済的理由、空間的理由、時間
的理由で。」と心に誓いながら、この季節、夏の古本市の案内
として、カタログが送られてくる。
思わず、ラインマーカを手に持って、開いて生唾を飲み込む
という構図である。
行きたいけど行ったら最後、余計なもの買っちゃうからなあ、
と我慢、我慢。

ぼんやり考えていたら、昨年、京王デパートの古本市で
アン・ヘリングさんをお見かけしたことを思い出した。

アン・ヘリングさんは、起こし絵の収集家・研究家。たしか、
法政大学の先生をやられていた。
おそらくもっと広い分野の肩書きをお持ちなのだろうが。

思い起こせば、20年以上も前、渋谷の「たばこと塩の博物館」
でへリング氏所有の起こし絵展があった。
へリングという方の存在自体、そのとき始めて知った程度だ。
私はこういうものが大好きなので、ワクワクしながら見て回った。
ところが、菅原の賀の祝の場面の説明書きが違っている。
その場合、普段、博物館では受付に間違いを指摘して帰るのだが、
係りの人とはフロアも違うし、ものを前でないと煩雑で伝わり
にくいので何も伝えずに帰った。
そのことはちょっと気になっていた。

そのすぐ後、たまたま、どこぞの美術館での展示の中に、
起こし絵が2、3展示されていた。
そこに外人のおばちゃん(その時点でも、お婆ちゃんぽい人)
が熱心に見ておられた。
顔は知る由もないが、直感で、へリングさんと感じ、
「あのー」と話しかけ、渋谷の展示の賀の祝のことも伝えた。
あの頃は私も若かったのだろう、今では出来ないことだ。
出会いはそれだけ。はるか昔のこと。

それが、昨年京王デパートの古本市で、お見かけしたのだ。
一瞬、ンー?どなただっけ?
と思いながら。
この方は、確かにアン・ヘリングさん。
いろいろ買い占められてますねえ。
お声をおかけしようかと思ったが、決心がつかなかった、
私も寄る年波に負けた形といった趣。
[PR]
by tamon1765 | 2009-08-02 05:47 | | Trackback | Comments(3)

奥野信太郎 「町恋の記」

奥野信太郎 「町恋の記」 を手にとる。

本当の大人とでもいうべき余裕ある方の随筆は
楽しい。
但し、やや耳の痛い話。

昔は学に志してまず素読に徹し、階梯を上って、
ようやく作詩作文にいたるのを、学ぶものの常道
とした。書を読むことと詩文をつくることとは、
学問の両輪として一日もゆるがせにすることを
許されなかった。
現代は書を読んでこれをただちに論じ、その論ずる
ことのつまびらかなことをよしとして、作詩作文
はまったくこれを廃して顧みない。門を過って
堂に入らないというべきであろうか。
(p300)

自分自身を省みると、別に学に志すといった大層
なものではないが、好き勝手に偉そうな講釈を
たれていることを恥じるとともに、門をくぐって
堂に立ち入っていないという勿体無いことをいつも
しているのかな、とやや無念に思う。
ところで、「もんをスグッテ」と読むのだろうか、
私の使わない言い回しも興味深い。


なんでも百年に一度の大不況とやら、もの心ついた
頃から、紅旗征戎我がことに非ずで生きてきた私も、
対岸の火事といかずその火の粉を浴びている。
元気になるような一節があったので、新年の引用と
しよう。

世のなかがなにか大変動にぶつかって、一切合財
めちゃくちゃになっても、人間というものはふしぎ
なもので、かならずいつのまにかもとのように復元
する性能をもっているものである。あるいはもと以上
に盛大にすらする。(
p314)

それにしても、グローバルとやらは、はなはだ不便な
ものであることよ。


奥野信太郎「町恋の記」三月書房、昭和42年。
[PR]
by tamon1765 | 2009-01-17 14:20 | | Trackback | Comments(0)

古本三昧

8/4に京王百貨店での古本市で以下購入。

・ 江戸千家茶の湯研究会「不白筆記」昭和54年
・ 土橋寛「古代歌謡全注釈 日本書紀編」昭和51年、角川書店
・ 「有職故実辞典」大正12年3版
・ 「国文大観 歴史部二雑」明治37年
   (保元物語、平治物語、平家物語、神皇正統記)
・ 「国文大観 索引」奥付なし

以上5冊。
上から、1050円、1000円、1500円、300円、300円、
締めて、4150円。

なんせ、江戸千家茶の湯研究会による「不白筆記」は長きにわ
たって探していた本なので、興奮してその夜は眠れなかった。

土橋寛さんは、古代に関してその著作で多くを教わった方。
この本が手元にあれば、自分では解釈のなかなか難しい古代の
歌謡の意味を、見たい時に直ぐ見られると思うとワクワクする。
但し、これは立教大学図書館の廃棄本。手垢も無い。
こんな重要な本を廃棄して大丈夫なのか、それとも、内容が
否定されたのか (マッサ、カー)。

「有職故実辞典」は、初めて手にしたが、関根正直校閲なので
間違いはないだろう。
思いついた項目を引いてみるのが楽しい。

そのほか、堀口捨己「利休の茶」岩波2000円を発見。
が、じっと我慢。これはわりと、多くの図書館で見かけるから。
その後、同じ会場内で、現在の鹿島出版社版8000円や岩波の
もの5000円をも目にして、やっぱり買おうと戻ったが、この種の
古本市の難しさ、もうどこで目にしたのか、グルグル何周しても、
分からず。
どこにあったのやら。おそらく、私よりもっとずっと相応しい方の
手元に行ったのであろう。

毎回カタログを事前に送って貰いながら、出向かなかった古本市で、
久々の古本三昧と相成った。
[PR]
by tamon1765 | 2008-08-06 07:53 | | Trackback | Comments(0)
line

このマヌケ?な顔、実は世界文化遺産なのです(笑)


by tamon
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30