2008年 09月 15日
即翁畠山一清「熱と誠」この本で、畠山さんがどういう方かはおおよそ分かった。
東大工学部出身、恩師のイノグチ式ポンプの実用化を
成し遂げて、荏原製作所の今を築く。
謹厳実直な方なのであろう。
加賀七尾城主の末裔というだけあって、お髯も立派な、
威厳ある武士の風格だ。
失敗談といったユーモア溢れるような本ではない。
茶道に関しても、エピソードがあるわけでもない。、
茶道観も正統派だ。
もちろん、いまの畠山記念館でもわかるとおり、成金の
人ではない。真面目な方だ。
ちなみに、白金のこの地は元薩摩藩下屋敷、寺島宗則
伯爵屋敷後だったそうな。お隣の般若苑とは、垣根といえ
ないような垣根(竹の組んだもの)があったが、これは、
般若苑との取り決めだったとのこと。その般若苑も
どうなったことか(もう何年も行っていないので)。
そして、能に関しても凄い人だったのだ。
なにせ一時期次期家元と目された松本長師を、震災後
三年間自宅に養ったというだけあって、宝生流の免許皆伝を
74歳に受け、後、社団法人宝生会名誉会長に就任(80歳)。
掲載されている写真も直面の鷺である。
兎に角、なんにでも誠実に全力投球する人だったのであろう。
文化勲章選考委員も歴任した。
はっきり言って、本としてそれ程、面白くはなかった。
おそらく、会社の案内或いは創業者の顕彰と社風の高揚の
ための配布用の本なのであろう。
渋川哲三なる方による解説もあるが、ビジネス面の解説と
いった趣。ただし、「一人一業に徹する」といった言葉があり、
この点、頼もしく思った (現代では、このような考え方は
無くなってしまっている)。
分類は、ビジネス書であろう。
現に奥付や外裏表紙に、値段表示はない。
著者名にも社名が冠されている。
データ :ダイヤモンド社、昭和55年4版。
今後、近代の茶人のいままで読み散らかした本を一言でも
いいので、感想を遺していこうと思う。
<20.9.16追記>文面のテニオハ・接続詞等を少々訂正。
<20.11.22追記>20日に畠山記念館に訪れました。
昔からの社員さん(即翁生前に入社)の方がおられたので、
お尋ねしました。この本は、社員向けの本で、入社すると
全員これを読まされたそうです。
by tamon1765
| 2008-09-15 11:30
| 明治期以降の茶人
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Comments(2)