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幸四郎の茶杓余技


川尻清潭「楽屋風呂」は楽しい本である。

演芸画報や新演芸での連載が面白い。戦後、『花道』に

載った梨の花会の本からの、お話し。


さて、幸四郎ったって、今の幸四郎じゃない、

ひいお祖父さん七代目のこと。

この七代目という役者さん、私の理解では、先ずもって、

勧進帳を生涯千何百回と演じ、現在の重要な歌舞伎演目に

成さしめた人(そういえば、前の幸四郎=二代目白鸚が

お祖父さんの上演回数を越えたような記憶もあるが)。

押し出し立派、踊りも上手。声量も立派。性格も円満。

進取の気性もあり。家柄も養子とはいえ申し分なし。

となれば、天下をとってしかるべきだが・・・・・・


私の勝手な想像では、台詞が一本調子。いい人過ぎて

役の深みに欠けるきらいがあったんじゃないかな・・・・・・と。

それはさておき、後世への最大功績は、団十郎白鸚松緑

の三兄弟を梨園に残したこと。娘婿には、雀右衛門(先代)

と、白大夫と違って幸福なお方である。


さて、本題は、この高麗屋さん、「竹の茶杓を削る隠し芸」

があったといい、筆者によると、「その道の本職も三舎を

避ける」と迄!ある。


話しの落ちとしては、丈によると、竹は動きの伴う品は、

竹を逆に倒して使用するのが法則ということで、「竹槍も

根の方を切先にしないとダメ」という。

筆者が、「太十の光秀が、細い穂先をひっそぎ竹にして、

母の皐月を突き刺すのでは?」と聞くと、

「アノ狂言だけは突き刺す相手がサカサマだから仕方がない」

(笑)



川尻清潭「楽屋風呂」梨の花会  S30.11.20発行 p90




by tamon1765 | 2022-03-05 00:13 | 茶杓 | Trackback | Comments(0)

お茶、その他についての、極く私的なブログ


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