カテゴリ:近代の茶人( 27 )

即翁畠山一清「熱と誠」

荏原製作所 畠山一清「熱と誠 茶の精神を貫いて」

この本で、畠山さんがどういう方かはおおよそ分かった。
東大工学部出身、恩師のイノグチ式ポンプの実用化を
成し遂げて、荏原製作所の今を築く。

謹厳実直な方なのであろう。
加賀七尾城主の末裔というだけあって、お髯も立派な、
威厳ある武士の風格だ。
失敗談といったユーモア溢れるような本ではない。
茶道に関しても、エピソードがあるわけでもない。、
茶道観も正統派だ。
もちろん、いまの畠山記念館でもわかるとおり、成金の
人ではない。真面目な方だ。

ちなみに、白金のこの地は元薩摩藩下屋敷、寺島宗則
伯爵屋敷後だったそうな。お隣の般若苑とは、垣根といえ
ないような垣根(竹の組んだもの)があったが、これは、
般若苑との取り決めだったとのこと。その般若苑も
どうなったことか(もう何年も行っていないので)。

そして、能に関しても凄い人だったのだ。
なにせ一時期次期家元と目された松本長師を、震災後
三年間自宅に養ったというだけあって、宝生流の免許皆伝を
74歳に受け、後、社団法人宝生会名誉会長に就任(80歳)。
掲載されている写真も直面の鷺である。
兎に角、なんにでも誠実に全力投球する人だったのであろう。
文化勲章選考委員も歴任した。

はっきり言って、本としてそれ程、面白くはなかった。
おそらく、会社の案内或いは創業者の顕彰と社風の高揚の
ための配布用の本なのであろう。
渋川哲三なる方による解説もあるが、ビジネス面の解説と
いった趣。ただし、「一人一業に徹する」といった言葉があり、
この点、頼もしく思った (現代では、このような考え方は
無くなってしまっている)。
分類は、ビジネス書であろう。
現に奥付や外裏表紙に、値段表示はない。
著者名にも社名が冠されている。

データ :ダイヤモンド社、昭和55年4版。

今後、近代の茶人のいままで読み散らかした本を一言でも
いいので、感想を遺していこうと思う。


<20.9.16追記>文面のテニオハ・接続詞等を少々訂正。

<20.11.22追記>20日に畠山記念館に訪れました。
昔からの社員さん(即翁生前に入社)の方がおられたので、
お尋ねしました。この本は、社員向けの本で、入社すると
全員これを読まされたそうです。
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by tamon1765 | 2008-09-15 11:30 | 近代の茶人 | Trackback | Comments(2)

大倉喜八郎のことば


(太閤の時代)当時の茶の湯はたんに好事のためでなく、政治
向きの必要から来たので、いわゆる武門の茶道は豪奢華美
を極めたものであったと思う。。。。

この武門の茶道に対し、真に風流を楽しまんとして起こったのが
宗へん流で、平民の茶道を鼓吹したものであると思う。。。。

今日世の中に流行している茶の湯というものは、前述の豊公時代
の武門の茶にならい、いたずらに豪奢華美の余風をうけついで、
物侘びた真の茶の湯の精神に協つていないのを、心中深くあきた
らなくなった。。。。

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by tamon1765 | 2008-09-02 07:04 | 近代の茶人 | Trackback | Comments(0)

護国寺の『魯堂顕彰碑』

久々に護国寺を尋ねた。
前々から気になってるのが、
『 仰木魯堂顕彰碑 』 である。

護国寺茶寮群の成立は、高橋箒庵の尽力無くしては考え
られない。
そして、箒庵の依頼によるのだが、仰木魯堂さんこそ、
この茶寮の実質製作者と私は考えている。
そして、その事を記念するのが、『 魯堂顕彰碑 』である。
私は護国寺に行った際必ず、寄るようにしている。
場所は、宗澄庵・化生庵の南側の壁外であり、車で本堂前
に行く際の車道の大きなカーブのところだ。
そこは広場で、以前は4,5台分の駐車場にもなっていた。

ところが、8年位前だろうか、
この広場が石置き場になっていた。
建築資材の扱いなのだろう、立入り禁止を意味する
ストッパーが置かれていた。

今回訪れてみると、悲しいことに、今もそのままだ。
無理に植え込みの隙間から行かない限り、この石碑を
目にすることは出来ない。
とは言うものの、この石が又何とも程が良いのだ。
何はともあれ、護国寺に足を運ぶ度に、
魯堂さんにはこの素晴らしい空間を造って貰い、
私は魯堂さんに感謝している。

早く改善して欲しいものだ。


仰木魯堂については、
・熊倉功夫 『近代数寄者の茶の湯』 河原書店、平成9年
 の196頁参照。
手に入りにくいが、以下あり。
・『なごみ 1986、5月号』 淡交社
 この号は、「特集・仰木魯堂小伝」
・藤井喜三郎 『艸居庵記』 昭和55年


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写真は、護国寺不昧軒から見た庭の眺め 
      平成18年11月中旬のとある日
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by tamon1765 | 2006-11-15 12:52 | 近代の茶人 | Trackback | Comments(0)

戸田宗寛 『 茶之湯 』

裏千家即日庵の先代戸田宗寛宗匠『茶之湯』講談社・昭和55年
に興味有る一節を発見しました。

それは、門人老婆の夏の趣向p152にあります。
著者が、父のお弟子さんの杉崎宗周さんという方の小田原のお宅を
訪れた話です。
 この方は、「噂によりますと、益田鈍翁氏の信頼厚く、たまには、
水屋も務めたりしたような関係」ということです。
もちろん、近代の茶人と言われる人は、基本的に人にお願いして
お手伝いをやって貰っているのが当然なのでしょうが、このように、
水屋を務めた方がはっきりしているのも興味深いです。
そういう方にもっともっと多くを語って欲しいと思います。

ところで、この本は、読み返せば読み返すほど、深い本です。
この著者の人物の大きさを感じます。
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by tamon1765 | 2001-08-28 13:04 | 近代の茶人 | Trackback | Comments(0)

藤原銀次郎の流派は

川上宗順さんとそのお弟子さんをめぐる記録について

『緑茶の事典』柴田書店2000.4の藤原銀次郎の項に、
「表千家に学ぶ」とあります。
その根拠を知りたいと思いました。
この項の執筆担当者は、編集部とのことですが。
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by tamon1765 | 2001-08-21 13:03 | 近代の茶人 | Trackback | Comments(0)

川上宗順のお弟子さん

 『川上不白茶中茶外』を見ますと、
川上宗順の弟子の代表として、
馬越恭平、益田鈍翁、藤原暁雲、山下かめ、野崎幻庵、
藤田岡県の6人の名が記されています。

川上宗順さんについての記述を捜すために、
・藤原銀次郎『私のお茶』s33講談社、
・藤原銀次郎『思い出の人々』s25ダイヤモンド社
をひっくり返してみました。

さて、暁雲藤原銀次郎の本には、
 ・私のお茶の先達は、...益田鈍翁だ。
 ・(自分は、益田鈍翁の)不肖の弟子
 ・本格的な稽古などする時間もなく、又してみようと
  いふ気もなかなかに出なかった。
  ただ一度だけ京都出張のみぎり、裏千家の家元について、
  わずか一週間たらずの指南を受けたことがある。
以上の記述は見出せましたが、藤原自身は川上宗順について
言及していません。

また、『自叙益田孝翁伝』にも、川上宗順さんに関する記述
は見出せませんでした。

教えた側と教わった側にズレがあるというのは、寂しい
ことです。
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by tamon1765 | 2001-08-18 12:57 | 近代の茶人 | Trackback | Comments(0)

川上宗順さん

 昔の東京では不白流が盛んで、偉い先生がいたというお話しです。
その方の名は、川上宗順です。

 林左馬衛先生の本 『 茶道史の散歩道 』 を開いてみました。
その本には、宮崎晃蓮さんの言葉で、
  「(明治・大正時代の東都では、)宗偏流も遠州流もありましたが、
   不白流ほどお盛んではありませんでした。」(偏はぎょうにんべん)
とあり、林先生自身 「お茶の先生では、浜町のほかに、どんな方
がたがきこえておられたのですか。」 と質問されています。
 つまり、浜町さん(不白流の川上宗順) を当時の有力な茶の宗匠と
見なしているということになります。
そして、その弟子として、「馬越恭平、三井さん、益田さん」 が挙げ
られています。
三井誰か?、益田兄弟のうちの誰か?は今後の課題にするとして、
近代のお茶を担った、大物ばかりではないですか!

さて、『 馬越恭平翁伝 』(昭和10年発行)を見ると、川上宗順を
ちゃんと自分の先生として遇し記載しています。曰く、
 ・当時東都茶界に指導的大勢力を有していた川上宗順宗匠が、旧習に
  泥んで容易に名器を使用する事を許さず、門人中に名物茶器を購入
  せんとする者あれば頻りにこれを諫止した。(p339)
 ・江戸千家流にして一種の見識を持し、茶礼の教授方が極めて厳格で
  あった。(p346)

  ちなみに、林先生の本の中で、宮崎晃蓮は川上宗順を
 ・人が立派な方で、九州と四国にも流儀をひろめられ、遺跡がいくつも
  残っています。(p147)

これらの話しから、見識を有し、弟子から慕われる宗順先生、単なる
道具茶の実践を許さない方のようです。
偉い方だったのでしょう。

ところで、私と流儀違いとはいえ、お名前を現在ではあまり伺うことが
無いのがちょと寂しい気がします。
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by tamon1765 | 2001-08-17 03:24 | 近代の茶人 | Trackback | Comments(0)

気ま~まな独り旅


by tamon
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