人気ブログランキング | 話題のタグを見る

我庭前七尺の堂の起は、東大寺再建のひじり、俊乗上人

40 我庭前七尺の堂の起は、東大寺再建のひじり、俊乗上人の影堂を中井大和守改めかへられし、そのふるき堂こびておもしろき物なれは、去る人に申請て、前栽の中に移しつくろいて、茶処に用いたり、堂の内わつかに方七尺、其内に炉を入、床有、押入有、水屋有て、茶具をとり入、床に花掛物して、押入床を持仏堂にかまえて、阿弥陀の木仏を安置し、客に茶湯を出



せとも、せまき事なし、鴨の長あきらは、維磨の方丈をまなひて隠居し、人にましはらさるをたのしみ、只一すしに弥陀をなかへり、我堂は方丈にたらすといへと、あまたの人を入て茶湯市せしなれは、浄名居士の獅子の座にはかなへりとそおもふ、何そ長明を求めんや、但、弥陀の木仏は、幸に俊乗の古堂なれは、似合敷おもひて、安置すといへとも、我更に弥陀を頼まんとにはあらす、俊乗は法然の弟子たるといへは、上人の礼儀をなせるのみ也、江月和尚、江戸にましませし時、此堂いとなみしまま、便につき、御ふみ奉し次てに、此事をのへて、此阿弥陀へ狂歌に、
  せはけれとあい住するそ阿みた仏
  後の世たのみおくとおもふな
といひしを、書付て送し御返事に、やさしくも詩歌をもつてこたへ給へり、
観音は同座とこそはつたへしに
  相すまひする弥陀ははめつらし
尽大三千七尺堂 堂中同座仏無量
自由一箇自然薬  今作西方古道場
しかるを、小遠江殿、或時、ここにましませしに、此事をかたりて、額台つかきて給はり候へと申せは、うちゑみ給ひ、さらはとて、長闇の二字をかき付給へり、いかなる儀にて有そと問申せは、昔の長明は物しりにて、智あきらかなるゆへ、明の文字かなへり、其方は物しらす智くらふして、しかも方丈をこのめるによりて、長の文字をはとりて、闇は其心也とわらひ給へり、去程に、七尺堂をさして長闇堂と名付、長闇子を我表徳号となせり
by tamon1765 | 2004-09-10 08:28 | 『 長闇堂記 』 | Trackback | Comments(0)

お茶、その他についての、極く私的なブログ


by tamon