世のなかを 何にたとへむ

                                 沙弥満誓
世のなかを 何にたとへむ 朝びらき こぎ去にし船の 跡なきごとし 
                       
世のなかを 何にたとへむ 朝ぼらけ こぎゆく船の あとの白浪


前者が万葉集(巻三)、後者が拾遺集。
これを読んで、ホーッとひとり喜びました。
今まで、朝ぼらけの「ぼらけ」の意味を考えたことはなかったの
ですが、そうか、「開く」という意味だったのですか、と。 
音韻は、自分にとっては全くもって疎い分野なので、その正誤を
判断できませんが、とりあえず、ひとり納得していました。

せっかくなので、字引を開いてみました。
すると、一応標準的理解の模様で安心しました。
曰く、
語源説として、
(1)アサビラキ(朝開)の転。
(2)アサビラケの転。
(3)朝ホノアケの約。
(4)ホラケはハラケと同じ。
とあり、岡山ではアサボーケとなまるそうです。
漢字は、朝朗と書くようです。

ところで、この和歌は、これから明るくなる一日を予感させる歌なのか、
去りゆく暗闇を見ている歌なのか、
作者は、世の中をどう思っているのか、ゆっくり味わいたいです。
この作者には、別に、
 朝夕にさびつつ居らむ
という、「さび」を考えるための和歌も残している方です。



<20.9.13追記>
上田秋成「雨月物語」内の『菊花の約』にこんな一節が
ありました。
「日和はかばかりよかりしものを、明石より船もとめなば、
この朝びらきに牛窓の門の泊は追ふべき。」
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Commented at 2008-09-13 12:35
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by tamon1765 | 2007-07-14 12:34 | ことば | Trackback | Comments(1)

気ま~まな独り旅


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