白雲抱幽石

お軸でよく目にする一節である。
寒山詩 (70) を紐解くと、わたしのイメージしていた
ものと、詩の作者の意図とのギャップが興味深い。

この白雲は、どこにあるか。
私は今まで、麓から見上げていた風情であり、
妙義山様のごつごつした岩山かなあ、と。
そして、その景色が茶席に合うものと思っていた。

ところが、この白雲は、彼方の風景ではない。
たった今、この庭先の眺めなのだ。
この詩では、
  庭際何所有(ていさい何の有る所ぞ)
  白雲抱幽石
       庭先に何があるかと言えば、
       そこでは、白雲が幽石を抱いている
とある。
また、寒山のほかの詩 (102) で、
  この丹桂の下に住して
  しばらく白雲を枕して眠らん
或いは、
  つねに白雲とともに閑なり  (25)

  下に山青の際を望み
  玄を談るに白雲あり  (39)

  共に白雲の中に坐せん (14)

という言葉も見出せる。

つまり、寒山は、雲の中に暮らしているのだ。
この言葉は、白雲を客体として眺めるものでなく、
白雲の中に暮らす主体になる言葉と捉えた方が
良さそうだ。

そして、思ってもみなかったことに、
標題の悠然とした語を含む、この詩の結末は、
豪奢な生活をするものに対するきつい批判である。
  寄語鐘鼎家(語を寄すショウテイの家)
  虚名定無益(虚名かならず益なし)


[19.5.9追記] no.25、39の一節を追加。
[20.1.6追記] no.14の一節を追加。
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Commented at 2007-04-04 23:43 x
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Commented at 2007-04-22 11:12
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by tamon1765 | 2007-04-01 15:26 | ことば | Trackback | Comments(2)

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