春は張りつつ秋は散りけり

書をひっくり返していて、こんな歌を目にしました。

 山城の久世の鷺坂神代より春は張りつつ秋は散りけり

万葉集にあるとのことで、現代口語訳しますと、
(一二句は固有名詞なので、端折ります)

神代の昔から春は芽が膨らんで、秋は散ってしまうんだなあ

というわけで、なにやら余りの自然と言いますか当然ということ
になるわけですが、柳緑花紅を連想させ、とても好ましい和歌との
思いを深くします。
春は皆芽を出し、秋に散っていく。。。。
楽しい事あれば喜び、悲しい事あれば涙する。。。。。、
私の今の人生そのものです。最近、真実はそれしかないのでは
ないか、そんなことを思う日々です。

さて、先に無視した地名、そしてそれこそが大切なわけですが、
悔しいことに久世も鷺坂も存じ上げないです。
素人考えでは、久しい世が神代の縁語というか繫がる言葉であり、
尋ねたい地ではあります。
ところで、鷺坂といえば伴内。忠臣蔵でお軽に横恋慕する御仁です。
もっとも、三馬の変稚気論によれば、彼こそ忠臣というのですから
それはまた笑えます。
何度も見た「落人」で、思い出すのは、歌昇のきっちりと踊って唸り
たくなるような伴内(アレ?それじゃいけないのかな?イヤイヤ
いい伴内でした)。
そして昔、天地会でみた、志寿大夫の伴内。
これは最高に笑えました。
勘平の「よく来た、伴内」という科白を、つい自分で言ってしまい
思わず右手を口に当ててしまうあたり、チャリの伴内そのものでした。
勘平役の良恵(現水谷八重子)の笑いが止まらなくなって芝居が
進行しなかったことも思い出します。笑い上戸かしら。
ちなみに、お軽は海老蔵時代の現団十郎。
思うに、浅野は違鷹羽。鷹に対する悪役側の鳥として丁度地名から
鷺坂を見出し選ばれたのかと愚考しますが、やはり何故鷺が、の思い
は残ります。
何せ、能の世界では鷺は五位の位を授けられる神聖なる鳥ですから。
五位といえば天上人ということで、畏れ多いです。
舞台でも神に近い(と私が思っている)老人か子供でないと演じら
れないのもご存知のとおりです。
白無垢の鷺。
フト、その昔、木版で年賀状を作っていた頃、鷺の舞台面を彫った事
を思い出します。天冠に両翼を広げた鷺を見せて、分かる人にだけ
分かればいい(そのあたり今と全く変わりない、苦笑)だったのですが、
全面朱で刷りましたね。
今思うに、どこが白い鷺? 全然分かっていない私。
思わずお顔がほころびます。

何か取りとめもない、年寄りの茶飲み話になってしまいました。
最後までお付き合いの方、失礼致しました。





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Commented by oo_bag_year at 2009-06-24 22:06
初めまして!
遊びに来ました!
これからヨロシクお願いしま~す<m(__)m>
Commented by 山桜 at 2009-06-25 18:06 x
数ある鷺の中でも、地味で小さめなゴイサギが何故に「位の鳥」「五位鷺」
なのかしら…? と訝しく思っておりましたが、帝の宣旨に従い六位の人に
神妙に捕まったからなのですね。 じっと動かないことの多いあの鳥なら有り得る
かもしれないと思いました。 

朱をもって白を表す・・・ありだと思います^^
Commented by tamon1765 at 2009-06-25 18:13
oo_bag_yearさん
お立ち寄りありがとうございます。
こんなブログですが、どうぞまたお寄り下さい。
Commented by tamon1765 at 2009-06-25 18:17
山桜さん そうなんですか。
動かない鳥なのですか。
捕獲され得る鳥だという現実的話しなのですねえ。

ところで、伴内は抜き身を頭から振り上げて、
鷺の嘴を表わす振りもあって、楽しいです。
チョコチョコ動く伴内は、実の処、鷺と対極ですね。
Commented by 山桜 at 2009-06-25 21:49 x
五位鷺は夜行性なので、昼間は眠いみたいです(笑)
多聞さんのお話を伺っていると、お能の楽しさがビンビン伝わって来ます。
なかなかチケットも取れないと聞きますが、どこかの会員になっていらっしゃるのですか?
Commented by tamon1765 at 2009-06-29 13:00
山桜さん江
なんか最近気軽さを求めてなのか、能よりも日本舞踊や歌舞伎の
ビデオを見ることが多いような。。。。
えっと、どちらもビデオで生舞台ではないです。
お能は、公演の7割方取れるのではないかと思いますよ。
10年以上前に、「今、個人名で席を一杯に出来るのは、2人だけ。」
とお友達との話しで盛り上がりましたが、
現在でも、5人位じゃないですか? 勝手な想像ですけど。
テッセン会や観世のお家元の出られるものは取りにくい
でしょうね、きっと。
まあ、誰を見るか好き好きですから、
この人を見ましょうということは個人的にはお伝えできます(笑)。
by tamon1765 | 2009-06-24 23:02 | 舞台の話 | Trackback | Comments(6)

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